コラム
ユーロファミリーに“嘘つき”が出てきた……ユーロ8年目の危機:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
欧州連合の加盟国中12カ国が、新しい通貨「ユーロ」を採用したのが2002年1月1日。しかし8年が経過し、ギリシャの財政赤字が明るみに出たほか、イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランドも危険な水準に。果たしてユーロ圏はこの危機を乗り越えることができるのだろうか。
「これは、財政再建プログラムの目標、特に2010年に財政赤字を対GDP比4%削減するとの目標を確実に達成するために、なすべきことはすべて実行するという同政府の強い取り組みを確認するものだ。本日発表された追加措置に、競争力の回復にとって不可欠である歳出削減、とくに公務員給与の抑制が含まれていることは適切な判断である。また発表された歳入増加措置も財政再建に貢献するものである」(駐日欧州連合部の公式Webサイトより)
実は、巨額の財政赤字はギリシャだけの問題でなく、イタリア(1兆7570億ユーロ)、スペイン(5690億ユーロ)、ポルトガル(1260億ユーロ)、アイルランド(1080億ユーロ)も危険な水準にある。欧州委員会はこれらの国々に対し「ギリシャ同様、必ずしも財政状況を正確に報告していないのではないか」との疑念を抱いているようだ。ギリシャ一国ならばまだしも、財政危機が連鎖的に起きればそれこそユーロの信頼性は瓦解しかねない。
ノーベル経済学賞受賞者ミルトン・フリードマンは1999年当時「おそらくユーロは最初に訪れる経済危機を乗り越えられないと思う。たぶん10年後には、ユーロ圏は空中分解しているだろう」と語った。幸いにも彼の予想は外れたがユーロの試練は当分続きそうだ。
※3月8日の為替:1ユーロ≒123円
関連記事
- 果たしてトラムは安全なのか 日本とドイツの違い
トラム(路面電車)といえば電車と比べあまりスピードを出さないため、“比較的安全”といったイメージを持っている人も多いかもしれない。しかしドイツ・デュッセルドルフ市では事故件数がやや増加傾向に。果たしてトラムは安全なのだろうか。 - 不思議の国ニッポンが、好かれる理由
ドイツ人は日本に対し、どのようなイメージを抱いているのだろうか。伝統文化を重んじる一方で、先端技術を誇るハイテクの国。また最近ではサブカルチャーの発信地としても注目を集めているようだ。 - フィレンツェで声をかけられた……旅行客を狙う、スリの手口
日本人も含め、世界各国からの観光客でにぎわっているイタリア中部の都市フィレンツェ。クリスマス休暇を使って行ってみたが、旅行ガイドブックに紹介されている手口のスリが横行しているようだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.