コラム
“休ませてください”が言えない……こんな雰囲気が漂う職場の問題点:吉田典史の時事日想(3/3 ページ)
「会社を休みたいけど、上司に言いにくいなあ」といった経験をしたことがある人も多いのでは。こうした言いたいことが言えない雰囲気が漂う職場には、どのような問題が潜んでいるのだろうか。
ところが、ここに1つの問題がある。目標管理とは、会社やその部署の目標と社員個人の目標をすりあわせをすることが前提となる。しかし、前述したように社員たちの職務があいまいなままでは、悲しいことに皆は会社や部署の数字をそのまま受け入れることになりがちなのである。
ここで職務が明確になり、権限もクリアになると、上司とガチガチの交渉が可能になる。例えば、上司が「今度は部署の目標が上がった。君には1億円を稼いでほしい」と言ったとする。その社員は「これまでの職務や権限は、あくまで5000万円を稼ぐものだった。1億円ならば、それに伴い、職務も権限も変えていただきたい」と言えるのである。
そこで、上司は「生意気な奴」と思うのではなく、むしろ「こいつは頼もしい」と思わないといけない。上司は部下とガチガチの交渉をしていく中で、双方が思考を磨き、言葉を磨く。それがマネジメント力を強くしていくのである。
このような積み重ねで、職場は一段と職務とその責任の範囲が明確になっていく。人事評価も「業績」の方にもっと重きが置かれ、あいまいな「行動評価」が姿を消していく。つまり、本当に職務遂行能力のみで競い合うことができる。こういう方向に段階的にシフトしていくことが、言論の自由な職場をつくることになるのではないだろうか。
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