コラム
もはや“失われた20年”かもしれない、どんどん取り残されていく日本:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
低迷する日本経済のことを「失われた10年」といわれてきたが、ひょっとして“失われた20年”に陥っているのではないだろうか。長期的なビジョンが描けないのは政府だけではなく、企業も同じ。このままでは取り返しのつかない事態に陥るかもしれない。
それでも英国は大事な強みを持ち続けている。自由な貿易、資本の流通、そして移民の受け入れである。住宅産業と金融業が大打撃を受けたために、新しい成長産業は何か議論されているが、よくよく英国経済を見ると驚くほど多様化している。映画やゲームソフトなどの文化産業は強い。それに英国企業を買いたがる外国投資家は多い。
エコノミスト誌は、英国の持っているこうした強みは開かれた市場の成果であると主張する。そして大きくなりすぎた政府を小さくして、規制を緩和すべきだと言う。
英国は総選挙を控えているが、そこで必要なことは、どのように小さな政府に転換していくのかをきちんと選挙の争点にすべきだという。「現在のように世界が複雑な相互依存の関係になっているとき、開かれた経済であることのメリットを過小評価すべきではない」と締めくくっている。
ここで日本のことを考えてみる。最近「アジアの内需を取り込む」という議論がなされるが、そのために必要なことは日本がアジア諸国とFTA(自由貿易協定)を結んで、互恵の関係になることだ。すでに中国は、農産物市場の開放に抵抗の強い日本がなかなか踏み切れないのを尻目に、日本に先んじてFTAを結んでいる。
日本がどんどん取り残されていくような感覚を持つのは私だけだろうか。
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