コラム
「走りながらマーケティングする」――データに支えられたソーシャルゲーム運営:野島美保の“仮想世界”のビジネスデザイン(2/3 ページ)
ファンドやコンテスト創設により、本格的な拡大が期待されるソーシャルゲーム市場。その先駆的企業であるZyngaが唱えるソーシャルゲーム特有の運営方法“データ・アプローチ”とは何なのか。世界展開に向けた躍進の条件を探る。
ソーシャルゲームの数値を読み解く
では、Zyngaの言うデータ・アプローチについて、どこから手をつければよいのだろうか?
そこで必要となるのは、「走りながらマーケティングをする」手法である。新ゲームを開発しながら、回線やバグや顧客への対応に張り付いている時でさえも、後回しにせず「同時に」マーケティングをする。
それまでのマーケティング・データ分析というと、専門職が統計処理をする大掛かりなイメージだった。しかし、少人数のベンチャーでは、マーケティング専門職までリソースが回らないだろう。ここでは、分析の手法や精度というよりも、毎日続けられることが大事だと思う。逆に、どんなに優れた統計手法を使っても、ゲームのことが分からなければ、それが本質的に何を意味しているか分からない。往々にして、職種の壁によって、ゲームクリエイターとマーケッターが互いの言葉を完全に理解できないという問題が生じる。
そんな中で、ゲーム設計・運営へのフィードバックを最優先する方法を考えたい。全社員が、ゲーム設計・運営・データ指標について共通の認識を持ち、会話をする土台を作ることだ。このことを意識して図表を作成した。上段は1月号コラムで書いたゲーム設計と運営の流れについて、下段はデータ分析のための指標を示している。
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