なぜ30代前半になると、“ゆきづまって”くるのだろうか:吉田典史の時事日想(4/4 ページ)
30代前半の社員と話すと「この人は優秀だな」と思う一方、「この人はひどい」と感じることはないだろうか。もちろんどの世代にもいえることだが、特に30代前半はその差が大きく感じる。そこで彼らの特徴を調べてみると、ある共通点が浮かび上がった。それは……。
下田氏は「周囲に感謝しようとする姿勢」には、次の3つの効果があると語る。
(1)上司や周囲との関係を良好なものにしていく
(2)周囲の意見を聞き入れる姿勢になり、謙虚なワークスタイル(≒組織の中で好感を持たれるワークスタイル)を身につけることができる
(3)過去の成功体験にしがみつく、という姿勢を打破することができる
(1)〜(3)の流れを想像してほしい。このステップを踏むと、社会人になって以降の経験を客観的に見据えるようにならないだろうか。例えば20代後半のとき、営業マンとして大きな契約を取れたが、実はそれは上司のお陰だったという具合に。この振り返りによって「自分はまだ未熟だ」と思い、新たに仕事を覚えていこうという心理になるのではないだろうか。
逆の意味で言えば、いちばんなってはいけない思考は、これまでの成功をすべて自分の力によるものと思い込むことだ。これは今後のキャリア形勢を考えると、かなり不利な生き方だと思う。学ぶ意欲を弱くしてしまうからだ。冒頭で述べたような編集者は、この悪しきサンプルだろう。
確かに、上司をひたすら責めていても事態は打開されない。かつての私がそうだったので、このあたりは自信を持って言える。30代前半で息詰まっている人は不本意かもしれないが、上司を始め周囲に感謝することを試みてはどうだろうか。少なくとも、自分の力で相手をねじふせようとすることは避けたほうがいい。
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