質の良いジョークがビジネスにもたらすメリット(2/2 ページ)
普段、何気なく口にするジョーク。しかし、会議やプレゼンテーションなど、緊張が張り詰めている場でうまいジョークを口にすると、聴衆の緊張が解け、その後の展開がうまくいくことも多いのです。
笑う門には福来たる
筆者が実際に体験したジョークで「これはなかなかのものだ」と思ったのは、以前筆者が商社に勤務していたころ、出張でロンドンから中東のイエメン共和国に向けて乗ったイエメニア航空(イエメンのナショナルフラッグ)の機上で体験したものです。
イエメンという国は中東アラビア半島にある古い国で、ほかのアラビア半島諸国と比べて近代化が大きく遅れており、首都のサヌアの街中でさえ、一般的な成人男性は、腰帯にジャンビーアと呼ばれる半月形をした短剣を差しているのです。要は、帯刀した武士が闊歩(かっぽ)している戦国時代にタイムスリップしたかのような国がイエメンです。
その未開の国イエメンの首都サヌア空港にいよいよ着陸する段になって、乗客の誰もが緊張して黙っている中、機長が機内アナウンスを始めました。
「当機は、これからサヌア空港に着陸致します。みなさまの国とこの国の時差を申し上げます。この国の時差は約1000年となりますので、ご自分の時計を1000年程巻き戻していただきますようよろしくお願い申し上げます」
緊張していた乗客は、誰もが笑いの渦に巻き込まれ、イエメンというある種特殊な国に着陸するさなかの機内に漂っていた緊張感が、機長のそのひと言で一気に解けたことを覚えています。隣に乗っていた終始無愛想であったイエメン人ビジネスマンも、これには大笑いしていたのがとても印象的でした。
「笑う門には福来たる」
講師として臨む講演のオープニングや、重要な会議の司会役やプレゼンテーターとしての始まり、営業マンとしてお客との重要商談をまさに開始する時など、とかくビジネスの現場では緊張感が漂いがちです。
その時に、ぜひ気の利いたジョークで場の雰囲気をほぐすことにいつもチャレンジしてみてはいかがでしょうか? センスのいいジョークは、相手から好感を持たれるだけでなく、それをきっかけとして打ち解け合うことができる潤滑油のようなものなのです。
日本人同士のビジネスのケース以上に、特に海外でのビジネスの現場においては、そう言えるのではないかと思います。お互いが打ち解け合える雰囲気を最初に築くことができると、その後の商談やビジネスの展開にも、きっといい影響を与えることと思います。
ただし、オヤジ特有の質の悪いダジャレや極端な下ネタしか思い浮かばない時は、いざ自分の口から発するかどうかはくれぐれも一息入れて熟考してから実行されるようアドバイス申し上げておきます。(三宅信一郎)
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