伝説の“呼び屋”は何を交渉してきたのか――ドクターKこと、北谷賢司:35.8歳の時間(6/6 ページ)
東京ドームでマイケル・ジャクソンやローリング・ストーンズが、ライブを行ったことを覚えている人も多いだろう。しかし日本に大物アーティストを招く、伝説的な男がいることを知っている人は少ない。“呼び屋”として活躍した北谷賢司とは、一体どのような人物なのだろうか。その素顔に迫った。
ビジネスで実務を経験し、それを学生たちに伝えたい
――金沢工業大学は3D映画や音楽など分野で、国際的な人材の育成を目指す「コンテンツ&テクノロジー融合研究所」(東京・虎ノ門)を設立した。研究所は4月からスタートし、初代所長に北谷が就任した。
この4月からコンテンツ&テクノロジー融合研究所の所長になりましたが、そこでは社会人に、メディアビジネスの最先端の情報を正確に伝えていきたいですね。そのためには海外の第一線で活躍している人たちを、日本に連れてくることも私の仕事。彼らの生の声を聞いてもらい、学生には闊達(かったつ)な議論をしてほしいと思っています。
いま興味があるのはデジタルシネマ。映画だけではなく、そのほかのコンテンツを配給するビジネスに注目しています。あとは3Dやデジタルサイネージの分野で、正確な情報を発信していきたい。
私はこれまでビジネスで実務を経験し、それを学生たちに教えてきました。その姿勢は、今後も変えるつもりはありません。自分が学習したことを、そこで終わりにしないで、若い世代にそのやり方などを伝えていきたい。次の日本のメディア産業を担う人材を輩出していきたいし、機会があれば、自分の人脈を紹介していきたいとも思っています。
――北谷のもとには、いまもひっきりなしに大企業の幹部が訪れている。彼らは北谷の知識、経験、人脈……そして交渉術を“学び”に来ているのかもしれない。
次は何に挑戦したいですか? と聞いたところ「うーん、特にないですね」としたうえで「これまでいろいろな人とタフな交渉をしてきたので、もう怖いものはないですね」と不敵に笑った。(本文:敬称略)
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