説得できない鳩山総理は、“残念”である:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
国家としては必要だが、自分の地域にそれが来ると困る――。沖縄の普天間基地移設もこれに該当するが、必要だからといって強行することは非生産的だ。しかしいまの鳩山政権を見ていると、地元の人たちを説得するのは「難しい」と言わざるを得ない。
「首相の言葉」をもっと大事に
確かに、メディアにも問題はある。例えばあるニュース番組で、徳之島について「一枚岩であるかに見えていた徳之島にも基地容認派がいる」というようなことを言っていたが、これこそメディア的な思い込みである。多くの場合、賛成派と反対派は必ずいるし、どちらとも言えないと考える人もいる。沖縄にも米軍基地を容認する人々はいる(沖縄県の仲井間知事が非常にバランスを取った発言をしているのは、まさにそれが理由だ)。
しかしメディアに文句をいうよりも、どういうように自分たちの行動を見て欲しいかをよく考えるべきなのである。最近の政治家で、メディアをうまく使ったのは小泉元首相だった。劇場型政治と言われようが、ワンフレーズポリティックスと言われようが、国民に分かりやすい言葉を使って支持率を上げた。広報戦略が小泉政権が成功した1つの大きな理由であることは間違いない。
それに比べると鳩山政権の広報戦略は「稚拙」と言われても仕方がない。どこの世界に、国の最高責任者が毎日メディアの「ぶら下がり会見」に答える国があるだろうか。そこから伝えられる首相の言葉は、ごく断片的な言葉にしか過ぎないから、首相の側にしてみれば、自分の真意を伝えていないと思うこともしばしばだろうと推察する。
そもそも首相とは、国の最高責任者である。その人の言葉は、ほかのどの政治家よりも重いはずだ。その意味では、タイミングを見計らって決定的な発言をすることが必要だ。揺れたり、ぶれたり(本人がいくら「ぶれていない」と言っても、ぶれているように見えてしまえばそれまでなのである)することは指導者としては絶対に避けなければならないのである。「郵政民営化は死んでもやる」と言って、解散総選挙に踏み切った小泉元首相に国民が圧倒的な支持を示したのは極めて当然だった。そこにリーダーとしての信念を見たからだ。
今さら小泉スタイルに変えるということもできないだろうが、「首相の言葉」をもっと大事にしないと、政権の座さえ失うことになりかねない。言葉が重みを失えば、国民を説得することなどできるはずもないのである。
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