インタビュー
批判されても、批判されても……貧困ビジネスに立ち向かう理由:35.8歳の時間・湯浅誠(6/6 ページ)
年越し派遣村の村長・湯浅誠――。彼のことについて、詳しく知っている人は少ないかもしれない。自分のためにだけに生きるのではなく、生きることが困難な人たちのために生きる男が、過去を振り返った。
「怒り」というと短気な性格のように思われますが、わたしはほとんど怒ったりしません(笑)。自分がちょっと怒っていても、周囲の人たちからは怒っているように見えないようですね。感情の表現があまりうまくないのかもしれません(笑)。
35歳のころ、1つの目標がありました。それは「日本に貧困問題がある」ということを社会が認識することでした。このことについて政府は昨年、貧困率を発表したので、とりあえず目標は果たせたかなとも思っています。しかし、これからは貧困率を下げていかなければいけません。どのように下げていけばいいのか――その解決策はまだ見い出せていません。
いずれにせよ、まだまだ道半ば。その道半ばというのが、30%なのか、40%なのか、それとも70%なのかというのは、自分では分かりません。この問題を改善するには一生かかると思っているので、活動はずっと続くものと覚悟しています。
――2009年10月、湯浅は鳩山政権に請われて政府入りしたものの、年末年始の対策が一段落したとして、翌3月に辞任した。しかしこの5月、彼の名刺に再びこの肩書きが記されることになった。「内閣府 参与」――。再起用された彼は、どんな手を打ってくるのだろうか。政府の中でも、1人でも多くの人と“接点”を見つけることができれば、面白くなるかもしれない。(本文:敬称略)
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