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インタビュー:アジア初の個展、フリードリッヒ・クナス(3/4 ページ)
喜びと哀しみ、楽しさと辛さ、興奮と鎮静……。人間の内側に同居する相反する感情を描くフリードリッヒ・クナス。アジア初となる個展が東京・元麻布のカイカイキキギャラリーで開催中だ。
この空間には、いわば自動手記のようなスタイルで描かれたクナス氏の感情と哲学が混在している。描かれたドローイングは、シュールなスタイルを取りながらも親しみやすい印象を受ける。難解で理解不能なのではなく、複数の解釈をもたらしてくれるのだ。
「漫画がすごく好きかというとそうでもない。毎日の中で出てくる複雑な感情を表現する方法として、漫画というのはすごく使いやすいツールだと思っている。漫画というのは1コマの中に悲劇と喜劇が存在し、笑いを含めたペーソスを表現できるんだ」とクナス氏。
もう一方の部屋では、比較的コンセプチャルな作品が多いのだという。いわば、左脳の空間になるのだろうか。
「手前の映像では、夕焼けの中を鳥が飛んでいる。その鳥たちはどんどん太陽の中に吸い込まれていってしまうんだ。これもひとつのスラップスティックだね。そんな笑いをこういうロマンティックな映像の中に潜ませている。そして、手前にカラーの映像があって、その背後にはモノクロームの絵があって夜を表している、それもコントラストになっているんだ」
ひとつの作品の中だけではなく、いくつもの作品が共鳴し、空間全体の中でも作品同士の対比を意識した構成をしている。逆側の壁を見てみると、今度は映像が白黒で背後の絵には色があふれている。
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