素人の私が、ソーラー工事に挑戦してみた:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
ソーラー工事を手掛ける知人に誘われ、筆者の松田氏は工事を手伝うことに。日頃は環境ジャーナリストとしてソーラー発電の話題を扱っているが、設置作業に関しては全くの素人。果たして、慣れない高所作業でうまくできたのだろうか。
筆者は3から8までの作業に参加。平均4人の作業者で1日9時間ほど働き、およそ8日を要した。
雨、風、暑さ、寒さ
高所作業を経験した方ならお分かりと思うが、雨、風、暑さ、寒さといった気象条件によって、作業効率と作業の安全性は劇的に変化する。雨の降る中でも作業は続けるが、傾斜した屋根の上がどれだけ滑りやすいかは想像に難くないだろう。屋根が凍る冬季3ヶ月はさすがに作業を休むそうだが、今回筆者が作業を手伝った知人は、屋根の雪をはらって作業をしたこともあるという。工期に迫られていたのだろうが、率直に言って正気の沙汰ではない。
雨と同様、風も問題だ。風通しのいい屋根の上で平たいモジュールを運ぶため風にあおられやすい。夏になれば屋根の表面温度は70度まで上がるし、冬の寒さも作業の大敵である。
今回一緒に仕事をした作業者の一人は6メートルの屋根から落ちたことがあるそうだ。幸い右手の骨折だけで済んだが危険な仕事であることは間違いない。筆者は昔、日本でロープにぶら下がってビルの窓を清掃するバイトをしていた。あくまで個人的な感想だが、ビルのガラス清掃より今回のソーラー工事の方が危険性は高い。
ちなみに時給は18ユーロ。一般的な建設作業より2〜3割高いが、それでも危険性や天候不順で仕事がキャンセルになる不確定性を考えると、なかなか厳しい時給に思える。ソーラー工事作業者は広い意味で建設労働者に含まれるが、比較的新しい職種のため独立した職業カテゴリーはなく、労働組合も整備されていない。こういった点もソーラー工事が一般化する中で整備の急がれる部分だろう。
さて次回は、今回のソーラー設備を例として、ソーラー発電ビジネスの魅力と現状の問題を掘り下げてみたい。
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