気軽にUstreamに出演しても大丈夫ですか?:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
犯罪を犯したときには中学校の卒業アルバムが報道され、就職活動ではTwitterの内容がチェックされることもある現代。動画検索技術が高まると、思わぬ波乱が巻き起こるかもしれない、とちきりんさんは語ります。
Ustream動画を手に入れろ!
また、誰かが犯罪で逮捕されると、「中学校の卒業アルバム写真」などがよくマスコミで流れます。同級生がマスコミに見せているのでしょうが、最近増えてきたのは「本人のブログ」が見つけ出されて報道されるケースです。
ブログ自体は匿名でも、本人が犯罪に巻き込まれた場合には(必ずしも犯人側ではなく、被害者側であったとしても)、事実上、個人名が特定されて報道されることになります。
犯罪捜査手法としては、例えばブログ上の記載により「殺意があったと認められる」とか「周到な準備をしていたことが証明される」ようなことも今後は起こってくるでしょう。また、アリバイ工作に使われる可能性もあります。そうなれば警察がブログサービスの会社に更新時刻の記録などの提出を求めるでしょう。
最近は監視社会とも呼ばれ、繁華街のあちこちに監視カメラが設置され、犯罪があった時にはそれらの映像がチェックされているようですが、今後は「事件があったバーからUstream中継されていた映像があったらしい。それを手に入れてチェックしろ!」みたいな刑事ドラマもありえますよね。
また、裁判の際に被告人の“人となり”を証明する材料として、ブログや画像などが提示され「こんな人だった」などと使われることも予想できます。ブログはもちろんですが、動画の場合、よりビビッドにその人の“人となり”を表現してしまいますから、そういったものが裁判での心証に影響を与えることも考えられます。
すでに米国では転職活動の際、採用する側が応募者のTwitter上での発言をチェックすることもあるようです。映像記録も検索をかけて探せる時代になれば、どこかの会社に転職しようとして応募したら、ブログやTwitterだけでなく、過去の映像まですべてが調べられるようになるのかも?
通信技術や端末の進化で、誰でもどこでも気軽に発信できるすばらしい時代になりつつありますが、同時に、今はまだ考えられないような問題や事態もこれからたくさん発生するかもしれません。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。
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