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ミラノサローネ2010、キヤノン「NEOREAL」レポート(2/2 ページ)

ミラノサローネ2010レポート。2008年から「NEOREAL」をテーマに、新しい映像表現の探究と挑戦を続けているのがキヤノンだ。

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エキサイトイズム
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まさに「入力と出力」の融合を表現

 映像は複雑な構造体の形に合わせてマスクされ、投影されており、複雑な形状に映像が走査線1本もずれることなくピタリとはまる様子は、息を飲むほどドラマチック。そして、時間が経つにつれ、プロジェクターの映像を見ていることを忘れ、巨大な構造体自身が光を放つ「光のらせん」であるかのような錯覚を覚えた。

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 らせんの映像を抜けると、奥には大河のように広がる巨大な水平スクリーンが表れる。こちらも「EOS 7D」5台を同時に使用して撮影した映像を、プロジェクター「WUX10」5台で投写し、1枚の映像として精密に合成したもの。「WUX10」はフルHDを超える解像度WUXGA(1920×1200)の表示が可能なプロジェクターだ。

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 来場者の生み出す映像をその場で撮り、リアルタイムで映し出すという映像体験も仕掛けられた。まさに「入力と出力」の融合を表現している。いずれの機材も、現在市販している同社のコンシューマー向け製品。プロ用の特殊な機材でなくても、ここまでの表現が可能であるという点が世界へ向けての同社のメッセージだ。

 「静と動。具象と抽象。入力と出力など、2つの概念の組み合わせを世界に共存させた。多面体の中に色の世界が閉じ込められ、溶け合い、広がっていく。レンズの効果を最大限に生かした。映像はすべてカメラのレンズを通すことをルールにした。また、完成した作品は『映像工芸品』といえる完成度に至った」(アーティスト高橋匡太氏)

 「生命の分子構造を感じさせる構造を、光や映像と結びつかせた。通常はフラットであるスクリーンをアルミ合金でらせん状に作った。技術的には7種の金物でジョイントさせ、6軸12本の光の軸と絡み合わせた。会場全体を1本のひもが連続するイメージ。光だけでできた建築といっていいような光景が広がった」(建築家平田晃久氏)

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 キヤノンのデジタルイメージング技術によって実現したこの空間は、新しい表現の可能性を感じさせてくれた。その背景にはたくさんの理論と技術がある。しかし、何よりも映像と空間の美しさに誰もが魅了された、感情をゆさぶる展示だった。

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