コラム
日本の時計の歴史をたどる旅――滋賀県・近江神宮:「時の記念日」漏刻から最新の電波時計まで(2/2 ページ)
「6月10日は、何の日でしょう?」と質問されたら、あなたは何と答えるだろうか。毎日、とても身近に感じているものを記念した日なのだが……。
2010年4月にリニューアルした「近江神宮時計館宝物館」
近江神宮時計館宝物館は、1階がさまざまな時計を収集した時計館、2階が近江神宮ゆかりの品々を展示する宝物館になっている。2010年4月のリニューアルを記念して、「高松宮特別展」も開催されている。
展示される時計は、持ち運びできる大きさの日時計、抹香の燃え尽きる長さで時間を計る香時計、江戸時代に製造された機械式の和時計など。なかには現存するのは時計館だけと伝えられる貴重なものもあり、国内における時計の歴史が実物を見ながらたどれるのだ。
江戸時代に作られた和時計は、ヨーロッパから伝来した機械式時計を模倣したものだ。しかし、当時の時間法は不定時法(日の出と日没までを6等分して一刻とした)だったため、技術的にもデザイン的にも日本独自の改良が加えられた。また、製造は時計師と呼ばれた職人が設計から製作までを手作業で行ったという。そのため、「和時計には、2つと同じものはない」といわれる。
和時計は大きく、櫓時計(やぐらどけい)、枕時計、尺時計に分類できる。時計館の説明によると、櫓時計は徳川家康が宣教師から寄贈された時計を、伏見城の櫓の上に据えたからともいわれているが確証はないらしい。
このほか時計館には、献納されたさまざまな時代の時計が展示されている。また、高松宮家から下賜された有栖川宮伝来の懐中時計は1500年代に作られたもので、「日本に現存する最古の懐中時計ではないか」といわれている。
次回は、最新の時計となる電波時計の仕組みについて紹介するだ。
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