W杯は大丈夫!? 元駐在員が教える南アフリカの治安状況(3/3 ページ)
いよいよ開幕する第19回サッカーワールドカップ南アフリカ大会。これから南アフリカに見に行こうとする人のため、1990年代に駐在していた三宅氏が現地の治安についての注意点を書いてくれた。
注意5:電熱線と赤外線センサーで防御
これは短期旅行者には関係ないかもしれませんが、駐在員の家はどのように強盗の侵入を防ごうとしているかお話ししましょう。
日本でも警備会社と契約して、何かあったら警備員が駆け付けるというサービスがありますよね。基本はそれと同じなのですが、南アフリカの場合は、セキュリティレベルが各段に違うのです。
まず、契約すると、部屋ごとに1つの赤外線センサーを設置してくれます。それと、家の敷地の外壁に上に、隙間なく電熱線を張り巡らします。侵入者がその電熱線に触れたり、部屋の中に侵入してきたりすると、たとえ真っ暗でも察知して、アラームが鳴り響き、自動的に警備会社に通報します。
そうすると、警備会社からすぐ電話が来ます。ちなみにここでは、事前に合言葉を決めておきます。「OK.No problem」を3回繰り返したら「賊が横にいてまずい状況を表す」というように、警備会社と決めておくのです。ホールドアップの状態で電話に出た場合は、警備会社に「問題が起こっている」などと言えないからです。
警備会社が問題を察知したら、契約によって7〜8分ほどで屈強な警備員2人が自宅に駆けつけ、塀を乗り越えて敷地に入って警備をしてくれます。1回だけメタボなおじさん警備員が来て、塀を乗り越えられないので助けてあげたこともありました。翌朝、警備会社に電話をして、「あんな警備員は替えてくれ!」とクレームを入れたのはもちろんです。
警備員2人とも巨大な機関銃のようなものを持っている点が日本の警備会社と違う点です。強盗と出くわして銃撃戦になることはしょっちゅうらしく、警備員は大変な高給取りです。それでもなり手はなかなかいないようです。
注意6:ダウンタウンとヨハネスブルグ中央駅だけは近付くな
ヨハネスブルグのかつての中心地、ダウンタウンは完全にスラム化しており、世界で一番危険な地域です。銃を振り回しながら、ふらついて近付いてくる男に出くわしたことがあります。
また、南アフリカの周辺は、財政破たんした世界でも指折りの貧しい国に取り囲まれています。ヨハネスブルグ中央駅には、そういった近隣国家の貧しい住民が大挙して押し寄せて来て、そのまま駅で泊まり込んで生活しているのです。物珍しいからと、間違っても訪れたりしないことをお勧めします。
以上、当時の治安状態をお話ししましたが、「今は当時よりもっと悪くなっている」と現地の友人から聞いています。治安というものは、お金で買うことができます。南アフリカで治安にお金をケチることは即、大切なわが身を危険にさらすことに直結するということをくれぐれもお忘れなく。
それさえ忘れなければ、抜けるような美しい青空、さわやかな高原の空気、青く輝く大自然、すばらしいホスピタリティを持った純粋で明るい人々など、日本とは違った南アフリカの魅力を満喫できることでしょう。(三宅信一郎)
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