1秒を決める国内唯一の機関――情報通信研究機構(NICT):「時の記念日」漏刻から最新の電波時計まで(2/2 ページ)
「1秒の長さは、どうやって決められているのでしょう」と質問されたら、あなたは何と答えるだろうか。毎日、刻々と過ぎていく時間について見直してみよう。
電波時計の電波はNICTが生み出し、福島県と福岡県から送信される
生成した日本標準時を通報することもNICTの役割の1つだ。標準電波(JJY※)によって国内各地に供給される日本標準時は、放送や電話で行われる時報サービスの親時計になっている。
現在、標準電波を発信しているのは、1999年6月から運用を始めたおおたかどや山標準電波送信所(福島県、40KHz)と、2001年10月から運用を始めたはがね山標準電波送信所(福岡県、60KHz)の2カ所。長波帯の電波を送信するために、おおやかどや山(標高約790メートル)には地上高250メートルの、はがね山(標高約900メートル)には地上高200メートルの傘型アンテナを立てている。
2つの標準電波送信所は、NICTから遠隔でも監視されている。山頂に高いアンテナを立てているため、どうしても落雷に弱いのだが、2つの送信所が共にダウンして、標準電波の発信が止まってしまうことはほとんどないという(2009年に完全に停波したのは41秒間だけ)。
国内で利用できる電波時計は、この2カ所から送信された標準電波を受信することで厳密な時間合わせを行っている。興味深いことに、多くの電波時計が深夜に電波を受信する設計になっているため、送信所の計画停止は昼間に行われることが多いという。
送信する時刻符号(タイムコード)には、1分間で1サイクルとなっていて、時、分、通算日(1月1日を1とする)、年(西暦の下2けた)、曜日(日曜〜土曜を0〜6で表す)、うるう秒情報、時と分が正しく読み取れたかどうかを確認するパリティ、予備ビット※、停波予告ビットが乗せられている。
ここで「秒に関する情報が発信されていない」と気付いた方は鋭い。タイムコードは1分間、つまり60秒で1サイクルとなっており、1秒ごとにパルス信号を発信する。従って、パルス信号の立ち上がりが秒を表しているのだ。電波時計が最初に時刻合わせをするのに2〜3分程度必要とするのは、タイムコードが1分間隔で送信されているからだ、といわれると納得できる。
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