不景気だと短くなる!? 女性の髪形と景気の関係
花王が定期的に実施している「女性のヘアスタイル調査」を分析すると、「景気が良い……髪の毛が長くなる」「景気が悪い……髪の毛が短くなる」という関係が見出せるそうです。
著者プロフィール:松尾順(まつお・じゅん)
早稲田大学商学部卒業、旅行会社の営業(添乗員兼)に始まり、リサーチ会社、シンクタンク、広告会社、ネットベンチャー、システム開発会社などを経験。2001年、(有)シャープマインド設立。現在、「マインドリーディング」というコンセプトの元、マーケティングと心理学の融合に取り組んでいる。また、熊本大学大学院(修士課程)にて、「インストラクショナルデザイン」を研究中。
花王が長期間、定期的に実施している「女性のヘアスタイル調査」を分析すると、「景気が良い……髪の毛が長くなる」「景気が悪い……髪の毛が短くなる」という関係が見出せるそうです(日経産業新聞、2008/2/15)。
花王では、1987年から東京・銀座、大阪・梅田の2カ所の街頭で女性1000人を対象に上記調査を実施。同調査では、ヘアスタイルを以下の4種類に分類しています(1991年以降)。
- ショート(髪の長さはアゴまで)
- ミディアム(肩の鎖骨まで)
- セミロング(わきの下まで)
- ロング(わきの下以下)
この4分類からショート、ミディアムを「短い」、セミロング、ロングを「長い」と2分類にくくってみると、「長短比率」(長い髪の人と短い髪の人の構成比)が、1997年に初めて逆転したそうです。つまり、短い髪の人の比率が、長い髪の人の比率を上回ったということです。
この年の景気は下向き。山一証券の破たんをはじめとする企業の大型倒産が相次ぎ、翌1998年はマイナス成長に陥ったのです。
バブル期に大流行した「ワンレン」(ワンレングス・ロングヘア)は、1990年まで20代女性の6割以上を占めていたそうですが、1997年以降は10%に低迷しているそうです。
さて、短い髪に代わって、長い髪が再び優勢になり始めた年は2002年。2002年は、一般庶民にはあまり実感がありませんでしたが、景気拡大局面が始まった年です。
「今後、短い髪が大勢を占めることはない」
さて、最近の景気は足踏み状態です。そうすると、女性の髪は短くなるのでしょうか? 花王の担当者によると、後頭部で髪をまとめるヘアスタイル「まとめ髪」が増えているため、たとえ景気が後退したとしても、「今後、短い髪が大勢を占めることはない」と考えているそうですが。
それにしても、なぜ景気と女性の髪は従来連動していたのでしょうか? 女性の方、どなたか説明してくれませんか(笑)。まあ、景気と髪との関係には複雑な要因が絡み合っていると思いますので、簡単に説明はできないでしょうね。
ただ、因果関係がはっきりしないとしても、こうした物事と物事との間の「相関関係」を見出すことによって未来の予測の精度が増し、より的確な経営戦略の立案が可能になるのは確かでしょう。(松尾順)
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