「ニホンが世界の中心」という考え方の功罪:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
日本はなぜ外国企業にとって魅力のない国なってしまったのか。その1つの要因に、日本企業が人材の多様化を「置き去り」にした結果、日本国内でしか通用しない人材ばかりになってしまったことかもしれない。
日本市場の閉鎖性
思い起こせば、かつて世界最大のフィルムメーカーであるコダックは、日本の富士フイルムに圧倒的に差をつけられていた(製品の質という意味ではプロはみなコダックを使っていたのだから、少なくとも富士のほうが圧倒的によかったわけではない)。世界最大のプリンタメーカーであるHPの日本でのシェアは微々たるものだ。クルマでも、日本のメーカーが育ったこともあるが、GMやフォード、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンなどの外車のシェアは、彼らの実力に見合ったものではあるまい。
これを十把一絡げに「日本市場の閉鎖性」と言ってしまうのには少々抵抗もあるが、かといって日本市場が海外企業に開かれていたということはとてもできない。例えば自動車では3ナンバーと5ナンバーを分けたりしたのは、明らかに外車抑制のためである。その結果、日本の自動車メーカーは世界でも有数の企業になったが、日本に単独で進出してきた外国メーカーはない。要するに日本で作って売るほどの量が稼げないからである。
日本が破竹の勢いで成長していたときは、こうした「日本セントリック」な考え方でも問題は顕在化しなかった。外国メーカーはそれでも日本で売ろうとしたからである。しかし日本が20年間停滞するなかで、急速に外国企業の日本に対する興味が薄れているように見える。この状況を打開するにはどうしたらいいのか。菅首相は「税金を上げても経済は成長できる」とあまりよく分からない理屈を振り回すよりも、日産のゴーン社長あたりによく意見を聞いたほうがいいかもしれない。
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