あと数年で市場が消滅? 市販カーナビを猛追する携帯ナビ:神尾寿の時事日想・特別編(3/3 ページ)
市販カーナビが苦戦している。理由は、割安なPNDとメーカー純正品に挟まれた上、進化する「ケータイナビ」サービスに追い上げられているからだ。格安な料金で高度なサービスを提供する、携帯ナビの今を解説しよう。
あと数年で市販カーナビ市場は消滅する?
カーナビ市場全体を見渡すと、カー用品店などで取り付ける「据え付け型カーナビ」の市場は縮退の一途だ。従来型の据え付け型カーナビは、普及モデルが15万~20万円、ハイエンドモデルが25万円前後という価格帯だった。しかし、割安なPNDの台頭と、テレマティクス対応の自動車メーカー純正カーナビの勢力が拡大したことで、「市販カーナビの割高感が目立ってきている」(カー用品店幹部)。市販カーナビは自動車メーカー純正カーナビと比較してテレマティクス対応が遅れてしまい、プローブ渋滞情報や地図の自動更新などサービス提供型のビジネスモデルへの転換がうまく進んでいないのも逆境の要因である。
そのような中で、カーナビゲーションをサービスとして提供し、安価な専用機や今後普及するスマートフォンを"通信ナビ端末"として使うナビゲーションサービス企業の台頭は、カーナビ市場の勢力図を大きく変えるだろう。今後数年でカーナビ市場は「自動車メーカー純正ナビ」と「ナビゲーションサービス」に席巻されて、据え付け型の市販カーナビ市場は、その大部分が消滅してしまうシナリオも考えられる。しかし、後者は従来のカーナビよりも端末が安価でサービスレベルが高く、アプリケーションやソリューションの応用範囲が広い。そのためナビゲーションサービスの台頭は、カーナビ利用率を向上させて、商用車やレンタカー/カーシェリング市場を中心に新ビジネスを創出する「プラスの効果」もかなり大きい。
カーナビ市場の構造変化・新市場の創出に注目である。
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