あの人とは“合わない”と感じたとき……どのようにすればいいのか:吉田典史の時事日想(1/3 ページ)
「会社の上司とどうも意見が合わないんだよなあ」と感じたことがある人も多いだろう。そんなとき、どのようにすればいいのか。ビジネス書を読めばいろいろなことが書いてあるが、ちょっとした気持ちの持ちようで、なんとかなるかもしれない。
著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)
1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。
著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi
最近、改めてコミュニケーションの難しさを思い知らされた。人事分野の雑誌で30代の経営コンサルタントにインタビューをしたのだが、意思疎通を図ることができなかった。私が聞いたテーマは「30代のリストラ」。問題意識は、次のようなものだった。
完全事業部制のもと、不採算部門をなくすリストラを行うと、30代の社員までも辞めさせられる場合がある。これを続けると、5〜10年後、人材難にならないか。
彼は、次の言葉をくり返すのみだった。「経営者は苦しんだ挙げ句、リストラをしている。中高年はもちろん、20〜30代の会社員もそのあたりが分かっていない。どうか、甘えないでほしい」と。そして肝心の30代の会社員について語ることはなかった。
コンサルタントの大多数はクライアントである会社の経営者から、コンサルティングの代価として収入を得ている。つまり、経営者層の側に立って仕事をする職業であり、基本的には従業員の側ではない。
もしかして、彼が「経営者層の意向を受けて発言しないと、仕事が来なくなる」と考えているのかもしれない。しかし企業の現場、つまり従業員のことをほとんど知らないのではないかと思った。
コミュニケーションは難しい
この3年間で、コンサルタントを90人ほど取材してきたが、そのうちの約7割は現場の管理職や非管理職と接点を持っていない。著名なコンサルタント数人にその理由を聞くと、ほぼ同じ回答が帰ってきた。
「自分が現場に行くと、ほかの仕事ができなくなる。トップマネジメント(経営者層)と会って話を聞けば、それで十分」
「現場に行くと、自分の利益率が下がる。会うのはせいぜい、経営者、役員、部長クラス。それより下の社員の情報を得ても、意味がない」
中には、現場のことをよく把握している人もいる。しかし、現場にいる会社員と話をしたりして、仕事の悩みや上司の関係などを聞く人は少ない。大企業で勤める人事部の役職者からこんなことを聞いたことがある。「有名なコンサルタントはプライドが高いから、現場になかなか行ってくださらない」と。
私は、ここでコンサルタントを攻撃しようとは思わない。人と接して真意を聞く、つまりコミュニケーションがいかに難しいものであるかを言いたいのである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.