明日の相場雑感
お盆休みということで相変わらず売買高は少なく、方向感のない展開となりました。米国株高や円安を好感して買い先行となったものの、日銀の金融政策決定会合で特に目新しい動きもなかったことや中国の貿易統計の発表で輸出・輸入共に伸びが鈍化したこと、また、米国でのFOMC(公開市場委員会)の発表を控え、週末にはオプションのSQ(特別生産指数)算出も控えていることなどから積極的な売り買いに乏しく、持高調整の売り買いが中心となって方向感のない展開となりました。
方向感に乏しい展開となっています。日経平均の9500円〜600円水準が節目となっており、その節目での底堅さを確認するような展開になっています。世界的な景気動向の先行きに懸念は残るのですが足元の業績は好調で、売り難く、買い難いという状況です。ちょっとした材料で手仕舞いの売りも手仕舞いの買戻しも急ぐ動きが出て、指数の方向感が見えなくなっているものと思います。ただ、世界景気に対する懸念が言われていますが、マスコミ等が騒いでいるほど悪い状況ではないと思います。
欧米は自国通貨安で輸出企業は好調であり、日本でも上方修正がこれだけ多い中で株価が年初来安値を意識する、と言うのがどうも理解に苦しみます。中国の経済拡大が鈍化していると言っても、はるかに経済の拡大規模は日本や欧米を凌駕しており、また、インドや東南アジアの国々の生活水準向上、経済規模の拡大はものすごいスピードで進展しており、「下期は・・・」と言うような企業の慎重な業績見通しも杞憂に終わるのではないかと思います。
「サブプライムショック」以来、景気の鈍化や金融不安に対して敏感になっているのですが、敏感になりすぎているような気がします。実体経済はそれほど落ち込んでおらず、結局はリスクを取れる資金が市場から退出してしまったことが株式市場低迷の一番の理由なのだと思います。ただ、業績や経済の動向を見てもそれほど悲観するほどのものでも、なく、もっとマスコミも含めて気楽に、強気に考えて見ても良いのではないかと思います。「景気は悪くならない」とお題目のように唱えていれば、案外景気も良くなるかもしれません。
清水洋介氏のプロフィール
慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤」
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