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朝日新聞が、世間の感覚とズレにズレている理由上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(1)(1/3 ページ)

気鋭のジャーナリスト、上杉隆氏、相場英雄氏、窪田順生氏の3人が、Business Media 誠に登場。「政治評論家に多額の資金が渡った」と指摘されている官房機密費問題や、メディアが抱える問題点などについて語り合った。

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 小渕内閣で官房長官を務めた野中広務氏の「官房機密費」問題が注目を浴びている。当時の官房機密費の取り扱いについて、野中氏は「毎月5000万円〜7000万円くらいは使っていた」と暴露。さらに評論家らにも配っていたが、那覇市内で行われたフォーラムで「持って行って断られたのは、田原総一朗さん1人」と述べた(参照リンク)

 野中氏の発言は一斉に報じられるものの、その後、この問題を追及する主要メディアはほとんどなかった。なぜ新聞やテレビは、官房機密費問題を取り上げようとしないのか。それとも「報道に値する」ものではないのだろうか。Business Media 誠ではジャーナリストの上杉隆氏、作家・経済ジャーナリストの相場英雄氏(時事日想・木曜日連載)、ノンフィクションライターの窪田順生氏を招き、官房機密費やメディアに関する問題を徹底的に語り合ってもらった。全10回に渡ってお送りする。

政治部は人であらず


ジャーナリストの上杉隆氏

相場:主要メディアで官房機密費問題を追及しているところはほとんどないのですが、一般の人にはかなり浸透してきたのではないでしょうか。

窪田:浸透してきましたね。これまで多くの人は、新聞記者やテレビ報道に携わる人のことを「中立な人だ」「正義の象徴だ」と勘違いしていましたが。

相場:確かに。大いなる誤解はあったでしょうね。

窪田:官房機密費の問題では、政治家が政治評論家や主要メディアの解説委員クラスに「お金を渡したのではないか?」という疑いが出ています。しかしヒラの記者にも、政治家は“お年玉”と称して、お金を配っていました。そんなに大きな額ではありませんが、年末や正月にお金を受け取った記者は多いはず。

 記者が政治家のために好意的な記事を書けば、当然「ありがとうな」ということになる。そして政治家からメシをおごってもらったりする。それだけならまだしも、やがてエスカレートし、正月にお年玉をもらったりするのかもしれない。

上杉:官房機密費は、政治の問題だけじゃないんですよ。メディアの問題。そもそも官房機密費というのはあって当然だと思う。使い道をオープンにすれば、いろいろな面で「抑止力」になるわけですし。問題は、ジャーナリストがお金をもらったということ。しかもお金の出所は税金なのに。

 ボクはこのことを何度も言っているのに、必ず「官房機密費のあり方について」という議論に戻されてしまう。フリーのボクがこの問題を取材していますが、本来であれば新聞やテレビが率先して内部調査しなければいけない。それが“筋”というもの。しかも税金の使い道に関する問題なのに、主要メディアはだんまりを決め込んでいる。記者クラブ問題のときと同様、今回の件についてはそういう動きが全くない。

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