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日本の医療は崩壊してる? それとも期待の産業なの?ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)

私たちが安心して生活するために不可欠な存在である医療。昨今、救急患者の受け入れ問題などで医療崩壊がささやかれる一方、海外の顧客向けビジネスも立ち上がっているという。医療業界の現状はどのようになっているのだろうか。

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問題が見えにくい医療業界

 また、「勤務医VS. 開業医」という構図についても、「ポルシェを3台持っている」というようなお金持ちの開業医の話を聞くと同時に、設備投資費用を回収するレベルの収入が維持できず、経済的に行き詰まる病院も多いと聞きます。

 いったい医者は足りているのかいないのか、偏在しているのかいないのか、報酬が十分なのかそうでないのか、日本の医療は崩壊しつつあるのか、海外の富裕層に売れるほど高品質なのか。この業界全体で何が起こっていて、どんな問題を解決しないと状況が改善されないのか、本当に見えにくいです。

 医療は誰もが関心のあるテーマだし、日本は先進国の中でもすばらしい医療制度をもっている国です。しかし、制度疲労を起こしているのは確かなので、もう少し問題が整理されて、一般の人にも広く正しい問題意識が共有されると良いのにと思います。

 日本企業の国際化や競争力の話であれば、ネット上でも多くの人が参加して議論を交わしています。医療制度問題の不幸の1つは、おそらく医療関係者のコミュニティ内だけで議論が行われ、広く現状認識と議論が広がらないこと。議論になるのは何か大きな問題が起こった時だけで、その時にはマスメディアの単純化された極端な報道だけになってしまっていることではないでしょうか。

 日本の医療が海外の富裕層に絶賛される一方、過重労働に苦しむ医者や、受け入れを拒否されてさまよう患者の問題が放置され続けるのは悲しいことです。私たち日本人がまず自信を持って世界の人に誇れる医療体制であり、かつ、海外からも高い評価を受けられる産業であってほしいものです。

著者プロフィール:ちきりん

関西出身。バブル最盛期に金融機関で働く。その後、米国の大学院への留学を経て現在は外資系企業に勤務。崩壊前のソビエト連邦などを含め、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitter:@InsideCHIKIRIN

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