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最後に残る新聞社はどこなのか上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(9)(2/3 ページ)

購読部数や広告費の減少などにより、新聞社が苦しんでいる。合従連衡が遅々として進まない中で、一体どこの新聞社が生き残っていくのだろうか。この問題について、ジャーナリストの上杉隆氏、相場英雄氏、窪田順生氏が語り合った。

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プチスピンドクターがいない


政治ジャーナリストの上杉隆氏

相場:今の菅政権はどのくらいヒドイのでしょうか? 

上杉:官邸内の話でいうと、とてもヒドイですね。その理由は2つあって、1つ目は官邸官僚を使いこなせていないこと。もう1つは記者クラブ制度を中途半端にしてしまっていること。中途半端に開放するという選択肢はなく、もうオープンにするかクローズにするしかない。しかし中途半端なままにしているので、ヘンな敵まで作ってしまった。

 そういう意味ではスピンコントロール(情報操作などを行うこと)が全くできていない。メディアコントロールはとても大切なのに、日本の政権だけができていない。

窪田:なんでこんなにコントロールされていないんだろう、といった感じですね。

上杉:スピンコントロールを意識的に行っていたのは、小泉政権のときの飯島勲さん。小泉政権が強かった背景の1つに、飯島さんの力が大きかったのではないでしょうか。あとは石原都知事の特別秘書を務めている高井英樹さんも、スピンコントロールを行っている。

窪田:官房機密費を手にしていた“大物”解説委員たちは、これまでプチスピンドクターのような役割を果たしていた。しかし今は、彼らのような後継者が育っていない。プチスピンドクターもいることはいるのですが、みんな小物ばかりなので、中途半端なスピンしかできていないですね。

上杉:以前、窪田さんと対談したときに「日本は記者クラブがスピンドクターだ」という話をしました。しかしその記者クラブが崩壊しつつあるので、今はスピンがきかなくなっている状態ですね。

相場:1990年代の半ば、銀行はスキャンダルまみれでしたが、ある銀行の行員は情報操作がものすごくうまかった。もちろん本人は「自分はスピンドクターだ」という意識はなかったと思うのですが、直に頭取と記者をつないでくれたりした。なので、その人にあたれば、記者は情報をとることができた。また情報操作がうまい人がいる銀行では、問題が起きても、あまり傷が大きくならないんですよ。

窪田:頭取という意思決定ができる人間と直にやりとりができる情報参謀みたいな人がいたわけですね。それを政治で例えると、自民党の派閥のボスにくっついていた政治記者になる。しかしそうした政治記者も、かつての輝きを失ってきている感じがしますね。

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