メガネスーパーの店頭で歌う男に学ぶ、営業のあり方:吉田典史の時事日想(3/3 ページ)
JR新宿駅東口から30秒のところにある「メガネスーパー・新宿中央東口店」。店頭で同社の従業員がラップを歌っているのをご存じだろうか。今回の時事日想は“MCナベチャン”こと渡辺聡さんに、ラップを歌う理由などについて話を聞いた。
ラップを歌うときの服装
いまや、グローバルな人気者になった“MCナベチャン”は、1日8時間勤務のうち平均して3〜4時間くらいは店頭で歌う。その間、昼食や休憩もとる。宣伝担当であるのでラップを歌うことが主な仕事だが、店の状況によっては接客のほか、レンズやフレームの加工もする。ちなみに火曜日と水曜日はお休みだという。
元俳優だけであり、ラップを歌うときの服装にも気を使っている。ワールドカップのサッカーが行われるときには、日本の小さな国旗をメガネに付けて歌う。12月のクリスマスシーズンには、サンタクロースの格好をして歌った。
店がオープンしたときには、風船をメガネに付けて歌うこともあった。また白鳥の格好をするときもある。いずれも店長らと相談し、決めていく。今年の夏は猛暑が続いているが、ワイシャツとネクタイで押し通した。さすがに暑かったようで、「水分をよくとるようにはしていた」という。
「演じる」という武器を使い、アピール
渡辺さんがかけているメガネは、実は「ダテメガネ」。視力は両目とも1.2〜1.5と悪くはない。同社の方針として、社員はできるだけメガネをかけるようになっている。それについて、取締役宣伝担当の佐藤進さんはこう説明する。「お客様にお勧めする以前に、まずは自分がメガネをかけてみる。そうすると、そのメガネの特徴などがよく分かる。そのうえでお勧めするのが、私どものエチケット」。佐藤さんも「ダテメガネ」だった。
ちなみに渡辺さんの趣味は、サイクリング。自宅のある所沢市(埼玉県)から都内の池袋や職場のある新宿にまで来ることもある。最近は体重が増えたので、減量もかねて自転車に乗る。157センチ、65キロ。確かに「やや、肥満気味」なのかもしれない。
渡辺さんは実に明るく、前向きな考え方でもある。得意ジャンルである「演じる」という武器を使い、アピールしている。このあたりは、30代半ばまでのくらいのビジネスパーソンにも参考になるだろう。
多くのビジネスパーソンはこの時期、思い描いていたキャリアと現実のギャップに悩んでいるのではないだろうか。大切なことはそのとき、考え方や意識のあり方でかなり差がつくことを認識することだ。頭角を現すためには、自分の強さが何であるのかを見定め、それをタイミングよく、分かりやすく上司や取引先、顧客などに伝えていくことに尽きる。そのことを“MCナベチャン”の活躍から学ぶことができるのではないだろうか。
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