コラム
中国が“拡張主義”に走れば……日本はどう対応すればいいのか:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐり、日本政府が揺れている。レアアースの輸出差し止め、大手ゼネコン社員の拘束、謝罪と賠償といった中国の圧力に対し、日本はどのように対応すればいいのだろうか。
現在の日本にとって脅威となる国
かつて日本軍が満州に進出したのも「防衛線」を拡張するためであった。日本を守るためには朝鮮半島が必要で、朝鮮半島を守るためには満州が必要だという論理である。かつて旧ソ連が東欧の衛星諸国に支配を強めたのも、また現在のロシアがウクライナやグルジアへの西側の影響力浸透に過敏に反応するのも、防衛線を守りたいからだ。いつの日か、中国が拡張主義に走らないという保証はどこにもない。
日本はそれにどう対応すべきなのか。バランスを取るという意味では、米国との同盟関係を強化することが第一だと思う。さらに東南アジアとの経済連携を一段と強化することが必要だろう。また中国に対して警戒心を持っているロシアとの連携強化も視野に入れる必要がある。それは全方位外交ということではなく、やはり現在の日本にとって脅威となる国はどの国かということを踏まえて、それに対して備えをすることだ。
備えがなければ一方的に“サンドバッグ”になるだけだ。それは今回の事件で嫌というほど味わったはずである。
関連記事
- 「ニホンが世界の中心」という考え方の功罪
日本はなぜ外国企業にとって魅力のない国なってしまったのか。その1つの要因に、日本企業が人材の多様化を「置き去り」にした結果、日本国内でしか通用しない人材ばかりになってしまったことかもしれない。 - 不思議の国ニッポンが、好かれる理由
ドイツ人は日本に対し、どのようなイメージを抱いているのだろうか。伝統文化を重んじる一方で、先端技術を誇るハイテクの国。また最近ではサブカルチャーの発信地としても注目を集めているようだ。 - 中国のレアアースが手に入らない……調達とは自由への闘争
調達とは、経営における自由を勝ち取るための闘争である。中国のレアアースをめぐる一連の出来事を例に、材料の調達をめぐる戦いを紹介する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.