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汗を流し、山道を分け入る作品体験:瀬戸内国際芸術祭(3/5 ページ)

瀬戸内国際芸術祭2010特集、豊島。フェリーが到着する家浦港からバスに乗って最初にたどり着くのが硯地区。森万里子氏の作品へ。バス停を降りると、小さな受付小屋がありその横に山へと続く小道がある、その中を分け入って作品まで向かっていく。

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 唐櫃岡(からとおか)には、奇妙な家があった。「藤島八十郎の家」という看板のある家だ。これは藤浩志氏と管巻三十郎による作品なのだが、藤島八十郎とは……。ひとまず中に入ってみることにする。

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「こんにちは藤島八十郎」藤浩志

 この作品は架空の絵本作家である藤島八十郎が住んでいる家という設定で、会期中を通じて藤島八十郎の暮らしや活動を発信し、観客と一緒になって1人の人物像を造りだして行く、一風変わった作品である。このプロジェクトは、ブログ「藤島八十郎をつくる。」でも随時情報が発信されている。

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 藤島八十郎は絵本作家になりたくてものがたりを探している。しかしうまく話ができないので島の人にいろんな話を聞いて家に帰ってくる。家の中には、八十郎の人物像を作り上げるさまざまなヒントが隠されている。例えば本棚。そこは彼の思考の変遷といってもいいくらい、植物、自然、文学、歴史、さまざまな本が並ぶ。

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 そしておもちゃ。これも八十郎を作り上げるのに重要な要素だ。家というのは面白い。そこにあるモノの種類やその並べ方を見ているだけで、どんな人物なんだろうかとイマジネーションが浮かんでくる。藤浩志氏はこの作品について

 「架空の人物を作り上げるということで、島の中に新しい活動が発生していく仕組みを作っていこうと思っています。八十郎の人物は、僕と管巻三十郎の2人が中心となって作り上げていきます。管巻三十郎は芸術祭の期間中、八十郎の家に住み込んで、新しい活動を起こし、その記録をとり続けます」

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藤浩志氏

 「プロジェクトは何をやるかも大事だけれど、それをドキュメントとしてどう残していくかが大事」と藤氏はいう。藤島八十郎というフィクションものがたりと、その架空の人物を介して新しく生み出されていくノンフィクションのものがたりをどう融合しドキュメントしていくのか。そして、芸術祭の後にこのものがたりをどう昇華(収束)させるのか、行方が気になる作品である。

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