持たざる強みが企業や個人を強くする:ちきりんの“社会派”で行こう!(2/2 ページ)
企業経営において、工場や人材などを多く抱えてしまうと、選択肢が狭まり、機動力にも欠けてしまうため、ベストな経営が行えない可能性があると主張するちきりんさん。そしてそれは、ビジネスだけではなく、個人にも当てはまるといいます。
個人の“持たざる強み”
個人でも家(不動産)を買えば、ほかの場所に住みたいと思ってもなかなか転居できなくなります。
また、代々続く名家に生まれたり、親が伝統文化の職人であったり、何らかの事業をしているような場合も、子どもは将来の選択肢について一定の縛りを感じるでしょう。さらに、親が病院を開業した医者ともなれば、その子どもには18歳の大学受験時から相当強いプレッシャーがかかっているはずです。
一方、「持たざる家」に生まれれば、自由に職業を選べます。大学を出るまで将来進む道など決めないままにすることも可能でしょう。「持たざる者」とは、「縛りのない者」「自由なるもの」と言い換えることもできるのです。
もちろん、家族のように「持つこと」により責任が生じ、「縛られることによって生きる意義を感じさせてくれる効用」のあるものも存在します。
しかし、少なくともビジネスやキャリア上の判断においては、「持ってしまったもの」に縛られると、自由度を確保している人との戦いはとても厳しくなります。「持たざる者の強み」を意識的に活用するため、たとえそれが過去の自分や自社を支えてきた資産であったとしても、未来に向けて決断をする際には、過去の資産に縛られないよう気を付ける必要があるのです。
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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