成功する事業は社会的ニーズが説明できる――CSR活動の本質とは?:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
近年、多くの企業が取り組むようになったCSR活動。その中でもうまくいく活動とうまくいかない活動があるが、NECのCSR推進部で社会貢献室マネージャーを務める村上雅彦さんは「うまくいく事業は、社会的課題が説明できる」という。
自分の事業の社会的課題が説明できますか?
「うまくいかない事業は、社会的課題が説明できません。自分が『やりたい』と言っているだけ。『●●の社会課題を解決する』、そう表現できないと成功しません」
読者のみなさんが起業家であっても、サラリーマンであってもいい。自身の関わる事業は順調だろうか。もし、その事業が不振であるなら、それは社会ニーズがうまく説明できないからなのである。「●●の社会的課題を解決する」と語れるだろうか? 本心から響く言葉で表現できるだろうか? 真の意味での生活者視点、つまり社会ニーズをバックにしていないから、理解されず、迷う。
逆に好調ならば、その事業が社会の何を解決しているか、改めて考えてみませんか。本質が見えて、もっと大きな展開もできるはずだ。
「社会ニーズはどうしたら見えますか?」
「NGOやNPOと協働するといいです。彼らは社会をよく分析してます」と村上さんは言う。1つの事例を挙げよう。
社会貢献は伝播する
NEC社会起業塾の卒業生が立ち上げたNPOカタリバは、大学生が高校生向けにキャリア教育をするNPO法人。方向性を見失い、孤独に悩む高校生のために、大学生が進路相談に乗り、今と将来をつなぐ語り場を提供する。この活動は全国に広がり、『「カタリバ」という授業』という書籍も刊行された。
「1つ不思議なことが起きたんです。カタリバのメンターとして高校生を支援した大学生自身のモチベーションも上がり、大学への忠誠心が高まったんです」
今、大学は中退率の上昇に悩んでおり、高いケースでは10%を超える。それがこのプログラムによって、高校生を支援する大学生自身がやる気になり、大学生活を有意義に感じるようになるという。思わぬ副産物である。
これを企業の現場に応用してはどうか。入社3年目の社員が新入社員のメンターになる。キャリアの今と将来を本音で語り合う。今の会社でできることを一緒に考える。両階層の退職率を減らすことができそうだし、新規事業の提案も生まれるのではないだろうか。
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