質問です。あなたは同一労働同一賃金に賛成ですか?:ちきりんの“社会派”で行こう!(3/3 ページ)
性別や年齢、雇用形態などに関係なく、同じ仕事をした人には同じ賃金が支払われるべきだという同一労働同一賃金の原則。しかし、立場の違いによって、同一労働同一賃金の受け止め方は、大きく変わるようです。
「給与は生活に必要な分が払われるべき」
「やっぱり大事なのかな〜、同一労働同一賃金」と思いつつ、最後の1人にインタビュー。
レポーター 同一労働同一賃金について、どう思われますか?
通行人D 大きな声では言えないけど、僕は反対です。
レポーター なぜですか?
通行人D 僕は正社員ですが、会社には僕と同じような仕事をしている契約社員がたくさんいます。同一労働同一賃金って、僕の給与が彼らと同じになるってことですよね? そんなの絶対に困ります。
レポーター 大幅に給与が下がってしまうということですね?
通行人D そうです。だいたい同一労働同一賃金というのは「給与は仕事の対価である」という思想から出てきた考え方なんです。
でもね、考えてみてください。20歳の若者と、僕みたいに妻と子と親とローンを抱えた50歳では、生活に必要なお金の額がまったく違います。同じ仕事だからって同じ給与にされたんじゃ、たまりません。給与は生活に必要な分が払われるべきなんです。年功序列組織には同一労働同一賃金はなじまないんですよ。
レポーター なるほど……。
通行人D そんなことが実現したら、中高年正社員の給与も今の非正規雇用の人の給与水準まで下げられるし、何年働いても全然上がらなくなります。誰も得しませんよ。喜ぶのは“上”にいるやつらだけです。
レポーター おお、もしかしてそれは懐かしの“資本家と労働者の対立”ってやつですね!
通行人D ふふん。あとは自分で考えてください。では、僕はこれで。
レポーター あっ、Dさん! ……行っちゃった。
さて、みなさんは、同一労働同一賃金に賛成ですか? それとも反対?
そんじゃーね。
著者プロフィール:ちきりん
兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN」
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