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コラム

尖閣ビデオを見て、民主党の“限界”が透けてきた相場英雄の時事日想(2/2 ページ)

尖閣諸島沖で起きた中国漁船衝突事件の映像が流出した問題で、民主党が揺れている。民主党はこれまで「政治主導」のスローガンを掲げてきたが、そろそろ“限界”にきているのではないだろうか。

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政治主導とは官僚の使い方を指す

 しらけムードを一変させ、これをさらに悪化させたのが、先に発生した中国漁船衝突事件を巡る現政権の迷走なのだ。

 「中国人船長を釈放したのは検察当局の判断」と菅首相以下、政府首脳は繰り返したが、国民のみならず、官僚達の間でこれをうのみにする人間は皆無だ。官僚の立場に立てば「自分の仕事でいつ同じような形でハシゴを外されるか分からない」(同)という怒りに変質している。

 漁船衝突動画の流出という事例だけでなく、今後は政権の公式見解に異を唱える形で、同じような事柄が増えていくと筆者はみる。

 しらけ顔の官僚が、一律に顔を真っ赤にさせて怒るほど、事態は深刻なフェーズに移行していることを現政権はいち早く気付くべきなのだ。

 繰り返しになるが、筆者は天下り先の確保に躍起になり、省益第一主義で縄張り意識の強い官僚を擁護するつもりはさらさらない。ただ、国益のため、国民のために尽くしている優秀な官僚が多数いることを長年の取材を通して知っている。彼らは真剣に現政権の責任感のなさ、そして政治主導という言葉の空虚さに怒りを感じている。

 かつて、自民党の麻生太郎元首相が就任会見した際の言葉が筆者の脳裏に鮮明に残っている。当時の麻生首相は「官僚を使いこなせ」と新閣僚たちにハッパをかけた。筆者は麻生氏の支持者でもなんでもないが、この言葉こそが本質なのではないだろうか。

 中央官庁の官僚たちは、その道のプロだ。なんでもかんでも政治家がでしゃばり、官僚のやり方を否定するのではなく、プロを使いこなすことこそ、“政治主導”というスローガンの本質なのではないだろうか。

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