コラム
20代の若者が、“心のキレイ”な人を食い物にしている:吉田典史の時事日想(3/3 ページ)
「手取りの給与は十万円台、賞与はなし」といった劣悪な条件のNPOは少なくない。ワーキングプアに耐え切れず辞めていく20代も多いが、その背後には“若者が若者を搾取する”という事実があるという。
この男性は28歳。会社員経験はわずか5年。こういう人がいることを知ると、20代を「心のキレイな人たち」とくくることに無理があるのかもしれない。実はこれに近いことを話す若い経営者やその予備軍(起業を考えている人)がここ数年、私が取材で知り合う人の中で増えている。
例えば「中高年が若者を搾取している」と、20代にとって耳触りのいい言葉を持ち出しつつ、実はその世代を搾取しようとする輩である。50〜60代の傲慢な経営者をしのぐしたたかさであり、ずる賢さを兼ね備えていると私には見える。その意味では将来、有望な経営者といえるのかもしれない。
竹井さんは、今後もNPOなど社会起業に取り組む若者は増え続けると見ている。また、今の高校生は大学生以上に熱心だという。この純真無垢(むく)な人たちを食い物にしようとする、若者がいることに注意すべきだろう。
竹井さんは最後にこう話してくれた。
「心のキレイな人たちが持続可能な活動を行うためには、まっとうな報酬が必要。欧米のNPOでは当たり前の理屈だ。日本の社会もこのことを理解する必要がある」と。
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