コラム
芝の上に20万匹のミミズ……税金の無駄遣いアレコレ:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
ドイツの市民協会が「ブラックブック」という税金の無駄遣いリストを発表した。日本と同様にドイツでも国や行政による無駄遣いは多い。今回の時事日想では、ドイツでの無駄遣いの事例を紹介しよう。
日本でも自治体レベルで税の無駄遣いを指摘する個人やグループはあるが、筆者の知る限り全国規模で数十万の協会員を抱え同規模の活動をする組織はない。
ブラックブックの記載は感情的なトーンを極力抑え、あくまで客観的な事実を積み上げることによって説得力を高めている。毎年秋にブラックブックが公表されると全国レベルのメディアで大きく取り上げられるほどの知名度を持ち、政治家も無視できない影響力を持っている。労働運動のように実力行使を背景とした市民活動の方法もあるが、ドイツ納税者連盟のように組織力を有効利用しながら静かに訴えかけてゆくのもひとつの手法だ。
連盟の推計によれば、ドイツの税金無駄遣い年間総額はおよそ300億ユーロ(3兆3934億円)に上る。もっとも割安でありながら、もっとも効果的な財政改善策が税の無駄遣いの削減である。
無数にある税金の使途の中で、問題となる「黒い羊」を探し出すのがブラックブック。未来永劫、世の中から黒い羊がいなくなることはないが、それをチェックできるのは市民の力以外にあり得ない。
※1ユーロ≒113円
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