日本が衰退していく、3つの理由:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
英エコノミスト(11月20日号)が、「日本の重荷」というタイトルで特集を組んでいる。その特集の中で、日本の経済力が衰退していく3つの理由を指摘している。その理由とは……。
人口問題
同誌はさらにいくつかの「対策」を示している。女性をもっと雇用すること、引退した世代を再雇用すること、移民を受け入れること、そして生産性を上げること。もちろん規制撤廃も必要だ。こうした意味で、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に参加することは重要なステップだと思う(関連記事)。「乗り遅れる」と言った議論ではなく、例外なき関税撤廃によって、農業も含めて日本の産業が変化を迫られるからである。もちろん域内労働力の移動自由化によって、日本に定住する人口を増やすことも可能になるかもしれない。
大風呂敷を広げることはできても、ビジョンを語ることができない菅政権で、TPPという国内の反対論が根強い課題を達成できるのかどうか。それは大きな疑問符がつく。民主党の唯一とも言える得点源であった事業仕分けも、支出カットという意味でも財源確保という意味でも無力であることが明らかになってしまった。それは官僚の抵抗ではなく、1にも2にも民主党のビジョンの整合性がないことに起因するものである。
それに人口問題がどれほど経済の足を引っ張っているかについて菅政権の認識はどの程度のものだろうか。菅政権の少子化担当大臣は最初は玄葉光一郎政調会長(当時)の兼任、そして現在は岡崎トミ子国家公安委員長の兼任である。つまりは大臣ポストはあっても、本腰を入れて取り組むような態勢になっていない。世界に先駆けて少子高齢化社会になりつつある日本。その日本の対策を世界は見つめている。模範例になるのか、反面教師になるのか。分かれ目は目の前だ。
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