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インタビュー:ハイメ・アジョンが九谷焼に挑んだ足跡(4/4 ページ)
今年のデザインウィーク期間中、もっとも注目されたのが、ハイメ・アジョン氏と石川県の伝統工芸「九谷焼」の窯元、上出長右衛門窯によるプロジェクト。その足跡に迫る。
今回のプロジェクトにあたり、上出長右衛門窯の五代目当主である上出雅彦氏は、最初は会ったことのないスペイン人デザイナーとのコラボレーションについて戸惑いを感じていたという。しかし、ハイメ氏と初めて出会った瞬間に「この人と一緒に仕事がしたい」とシンプルに感じることができたそうだ。海外から来た客人としてのデザイナーではなく、まるで家族のようにチームの一員に加わってもらい、それをハイメ氏自身も楽しみながら、今回のプロジェクトは進んでいった。
1つ象徴的な話がある。石川県・金沢の老舗蔵元、福光屋の酒蔵見学にハイメ氏が訪れたときのことだ。その際に、日本酒で大事なことは「注いだときの音と広がる香り」だと知ることになる。ロシアにおけるウオッカなどとはまったく別の、日本酒ならではの繊細な文化。その精神に共鳴したハイメ氏は、自然のひょうたんの形に着想を得て、独特のとっくりをデザインした。
注いだときに「トクトク」という音が出るようにこだわったとっくりは、間違いなくハイメ・アジョンによるデザインでありながら、同時に伝統ある九谷焼のものでもある。この奇跡ともいえるコラボレーションは、食卓に幸せなムードを届けるに違いない。来年以降の商品化を目指し、プロジェクトはさらに続く。
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