コラム
焦らせる“大人”に騙されてはいけない。就活の問題点に迫る:吉田典史の時事日想(4/4 ページ)
「新就職氷河期」とも言われる中で、大学生の就職活動が本格化した。資料請求、会社説明会、面接などをこなしていかなければいけないが、就活に問題点はないのだろうか。この点について、採用問題に詳しい専門家に話を聞いた。
つまり、大企業の人事部、それを支える就職支援の会社、そしてキャリアセンターが三身一体となり、学生たちを手当たり次第に会社にエントリーするようにそそのかす構造になっているといえる。赤堀さんはいう。「ここ数年は、 企業本位の就活は多少、軌道修正されつつある。だが、依然として学生は焦るように仕向けられている」
また大企業のセミナーのあり方にも疑問を呈した。一部の企業では、学生たちが集うその場で、現場を離れた経営者や役員が長い話をしたり、そのビデオが流れる。確かにこれもまた、企業本位といえるのかもしれない。学生が知りたいのは、自分たちの近未来である20代社員たちの本音、例えば仕事の醍醐味なのだという。
赤堀さんは2010年から、すでに社会人になった人を対象に「実践塾」と称して「ビジネス」「読む力」「インテリジェンス」などをテーマに教えている。これもまた、仕事観を明確にするために不可欠と考えている。「仕事観を持つことの大切さを伝えていくことで、企業と大学の橋渡しをしていきたい」と結んだ。
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