支持率1%でも辞めない……菅総理の奇怪千万な振る舞い:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
菅内閣の支持率が急降下しているが、菅総理は「支持率が1%になっても辞めない」と言ったという。かつて野党時代には民意を盾に与党を攻め立てた菅氏だが、もはや政権の座を守ることしか興味がないのだろうか
「最小不幸社会」とはどういう社会か
そんな政治状況の中で、鳩山前首相と会談した菅首相が、「支持率が1%になっても辞めない」と言ったという報道があった。この発言を文字通り受け止めると、野党時代には「民意」を盾に与党を攻め立てた菅氏が、自分が政権の座についたら、とにかくその座にしがみつくというように聞こえる。
最近「支持率に一喜一憂しない」という言葉をよく聞くが、それは自分に都合のいい解釈にすぎない。国民はもちろん、外国の指導者も、支持率が低い指導者には敬意を払わない。当然である。支持率が低いということは国民を説得できていないということであり、政治家というよりただの政治屋あるいは権力主義者にすぎないという証であるからだ。国民を説得できない政治家が、他国の指導者を説得できるはずもない。
そんな状態の指導者がその地位にとどまることは、国家にとっては大きな損失である。まして日本は岐路に立っている。国民の生活水準を維持し、幸せにできる国になるのか、それとも多くの国民が不幸になったと感じる国になるのかという岐路である。
今年、日本がGDP(国内総生産)で中国に抜かれる。それでも1人当たりGDPではまだ中国の10倍だ。しかし世界で見れば、1人当たりGDPのランキングはどんどん低下し、ベスト20ですら危うくなりそうだ。もちろんGDPは幸福の1つの尺度でしかないが、いまわれわれが「日本にはこれがあるから大丈夫だ」と言えるような何かがあるだろうか。医療や介護、社会保障、安全保障、治安、文化などなど、いろいろ考えてみても21世紀の日本を支えてくれるというほどには頼れるものはないように思える。
いったい菅首相は「最小不幸社会」と言うとき、どのような社会を思い描いているのだろうか。その社会のイメージを国民に伝えられない限り、最小不幸社会というのは単なる言葉にしか過ぎない。そして単なる言葉が説得力を持つことは決してないのである。
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