2011年、世界経済は厳しい局面を迎えるかもしれない:藤田正美の時事日想(2/2 ページ)
2010年の世界経済は、全体として悪くない数字を残した。例えばOECDによると、世界の総生産は5%近く伸びるという。しかし回復軌道に乗っているとは言えず、2011年は厳しい局面を迎えるかもしれない。
日本経済も2011年は厳しい
問題含みで迎える2011年だが、日本経済も来年は厳しい。日本総研の予測では来年度の経済成長率は0.2%。エコカー減税や補助金、エコポイントなどの景気刺激策効果がなくなり、ほぼゼロ成長。需給ギャップは依然として大きく(2010年7〜9月期でマイナス3.5%)、企業の国内設備投資意欲も盛り上がらない。これだけ大きな需給ギャップがあれば価格には下方圧力がかかり、デフレ状況から抜け出すことができないと予想されている。
このような状況下では日本の長期金利も低い水準で推移すると日本総研は予想しているが、これは果たしてどうだろうか。いかに国債の消化が国内でされていると言っても、いつまでも日本の金融機関が国債を購入できるものでもあるまい。個人投資家が資産の外貨運用を拡大するという傾向も生まれ、そうなったら金融機関もこれまでのように国債を買ってはいられない。日銀が国債をさらに市場から吸収すれば、これは将来(といってもそう遠くないかもしれない)のインフレの種を蒔(ま)いているようなものだ。
いずれにせよ米国、ユーロ圏、中国をはじめとする新興国で問題が発生すれば、足腰の弱っている日本は大きな影響を受けるだろう。日本の再建は一朝一夕にできるものではないが、どのような道筋で再建するかを政治が示さなければ、経済も企業もただただ漂流するばかりだ。このようなときに、日本の政治が民主党という“素人集団”に運営されていることは、まさに日本人の不幸である。
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