コラム
菅総理に贈る言葉――「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」:藤田正美の時事日想(3/3 ページ)
ある調査によると、企業経営者は景気が二番底に陥る可能性は低い、と見ているようだ。しかし失業率が5%を超えるなど、明るい材料は少ない。日本経済の先行に不透明感が漂う中、菅総理は再建に必要なことを語るべきではないだろうか。
身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
景気が悪いときには政府が雇用をつくるというのは、どこの国も公共事業などで一時的にはやることだが、小野氏の言う「国民が必要とする分野」というのは少なくとも道路などではあるまい。医療や介護が成長産業だという従来の主張に乗ったものだろう。そういった分野を国が運営するということは長期的にどういう意味を持つのだろうか。日本という国の「成長エンジン」を国が持つことになったら、それこそ国鉄や林野、郵政など枕を並べて討ち死にした「官営事業」の二の舞になる可能性が大きい。それに、その原資を「返納金」に頼るというのは、あり得ない話だと思う。
選挙への影響を恐れて、国民に対して負担増を説得できない民主党政権。減税した企業への「強い」姿勢を示さなければ、ますます支持率が下がるとでも思っているのだろうか。でも「たとえ支持率が1%になっても辞める必要はない」と励まされたそうだから(関連記事)、いっそ不人気な政策でも何でも、日本の再建に必要なことを思いっ切り国民に語りかけてはどうでしょうか、菅総理。昔から言うじゃありませんか。「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」って。
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