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コラム

バイオのあおりで、ビールが値上がりするかもしれない松田雅央の時事日想(1/4 ページ)

ドイツではバイオガス発電ブームにより、原料となるトウモロコシの作付面積が急拡大している。このままでは大麦の国内生産が圧迫され、多くのドイツ人が好む、ビールが値上がりするかもしれないのだ。

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著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 ドイツではこのところのバイオガス発電ブームにより、原料となるエネルギー作物、とりわけトウモロコシの作付面積が急拡大している。このままでは大麦やジャガイモの国内生産が圧迫され、ドイツ人の大好物、ビールやフライドポテトまで値上がりするかもしれない。

 バイオガス発電はエコ的と言われるが、早くも規模の拡大による社会問題が顕在化する時代に突入している。

地平まで広がるトウモロコシ畑

 農林水産省の推計によれば、ドイツの食料自給率は80%(2007年)に達し日本の40%を大きく上回っている。計算方法が違うので単純な比較は無意味という意見もあるが、日本に比べドイツの自給率がはるかに高いのは間違いない。

 北ドイツの平原地帯の農家にとって、これまではジャガイモやニンジン、EUのタバコ規制が強まる前はタバコといった作物に魅力がありトウモロコシはいまひとつだった。だが2000年ころから始まったバイオガス発電ブームが状況を一変させ、今はトウモロコシ畑が地平まで続く光景も珍しくない。


ドイツの広大なトウモロコシ畑
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