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インタビュー

なぜ待機児童は減らないのか?――JPホールディングスが保育事業に参入した理由嶋田淑之の「リーダーは眠らない」(1/6 ページ)

大都市圏を中心として問題となっている待機児童。要因はさまざまだが、最大の原因は保育所の不足である。そんな保育業界を変えようと、2001年に新規参入し、現在民間トップ企業となっているのがJPホールディングスである。民間企業がなぜ保育業界に参入したのか。代表取締役の山口洋氏に尋ねた。

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嶋田淑之の「リーダーは眠らない」とは?

 技術革新のスピードが上がり、経済のグローバル化も進む中、日夜、自らの組織のために粉骨砕身するリーダーたち。彼らはどんな思いを抱き、どんなことに注目して、事業を運営しているのでしょうか。「リーダーは眠らない」では、さまざまな企業や団体のトップに登場していただき、業界の“今”を語ってもらいます。

 インタビュアーは戦略経営に詳しい嶋田淑之氏。徹底した聞き取りを通して、リーダーの心の内に鋭く迫ります。


 現在、日本が抱える課題の1つに、大都市圏を中心とする「待機児童」の問題がある。

 厳しい経済環境下、小さな子どもを抱えながらも夫婦共稼ぎをせざるを得ない家庭や、離婚率の上昇でシングルマザーとなった女性の数は年々増えている。ところが、子どもを預かってくれる保育園を見つけるのは、絶対数が不足しているため非常に難しい。また、やっと見つけても、基本的に夕方になれば仕事の途中でも子どもを迎えに行かないといけないなど、利用者の置かれた就業環境にそぐわなくなっているのが保育園の現実である。

 何年も前から問題視されながら一向に改善されない、保育をめぐる状況。この状況を変えようと、2001年に他業界から保育業界に参入し、トップ企業へと成長させた人物がいる。それが今回の登場人物である山口洋(やまぐち・ひろみ)さん(49歳)だ。山口さんはJPホールディングスの代表取締役として、保育園などを全国展開する日本保育サービス、その給食部門を請け負うジェイキッチン、英語・体操・リトミックの指導を請け負うジェイキャストなどの企業群を率いている。

 山口さんの活動は民間だけにとどまらず、厚生労働省や内閣府などの委員や有識者に選出されていて、国の政策面からも保育問題の解決に取り組んでいる。

 独身者はもとより、小さな子を持つ親であっても意外と知る機会のない保育業界の実態とはどのようなものなのか。待機児童をめぐる問題の背後には、どのような業界事情や業界体質が存在しているのか。そして、山口さんはそれをどのように変えてきたのか。今後、どのように変えようとしているのだろうか?


JPホールディングス代表取締役の山口洋さん
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