回転寿司戦争、スシローやかっぱ寿司の天下は続くのか?:それゆけ! カナモリさん(1/2 ページ)
「すし御三家」が激しく天下を争う中、外食最大手のゼンショーもひたひたと追い上げを図っている。戦国時代を勝ち抜くのはどこの企業か、何が条件なのか。
それゆけ! カナモリさんとは?
グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。
※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2011年1月21日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。
まずは回転寿司業界の現状をざっと概観しておきたい。
外食産業総合調査研究センターの資料によると、2009年の外食産業全体の市場規模は約24兆円、「食堂・レストラン」の約8兆8000億円がダントツでトップ。その他は、「そば・うどん店」「喫茶店」「居酒屋」が約1兆円で横並び。「すし店」は約1兆3000億円という規模だ。2010年8月20日付の日経MJによると、回転寿司の2009年度の市場規模は約4698億円(いちよし経済研究所調べ)。2004年度比約1.5倍というから、飽和状態の外食産業にあって、まだまだ伸びしろの大きい市場と言えるだろう。
その中で激しく覇権争いをしているのが「寿司御三家」だ。「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト、「スシロー」のあきんどスシロー、「無添くら寿司」のくらコーポレーション。3社は1皿100円を切る価格戦略をいち早く導入し、規模を生かしつつ、あらゆる手段で経営効率を高めてきた。3社の市場シェアは5割近い。
また、御三家以外の追い上げも激しい。特に近ごろ台風の目として注目を集めているのは、すき家のゼンショーが展開する「はま寿司」。ゼンショーが持つ圧倒的な購買力を生かせれば、御三家に食い込んでくる可能性は高いと言われている。
2011年1月14日。その血みどろの争いを象徴するようなニュースが報道された。産経ZAKZAKの記事「回転寿司で下克上!スシローかっぱ抜く『安さ』より『素材』」を見てみよう。
首位陥落である。「かっぱ寿司」はトップ死守を賭け、平日1皿90円のキャンペーンを展開。CMでは宇宙人まで食べに来たものの、2010年下半期(7〜12月)の売上高は後発の「スシロー」が前年同期比20%増の462億円と、かっぱ寿司の同9%増455億円に対し、ついに僅差で追い越した。
さらに、「業界内の競争は激化しており、3位の『くら寿司』を展開するくらコーポレーション(大阪)は2010年10月期決算で最高益を記録。『銚子丸』なども業績が好調だ」と業界内の順位は今後もめまぐるしく変わる可能性が指摘されている。
ZAKZAKの記事はこう締めくくられている。「下克上といえば、人気アイドルグループ『AKB48』が有名。メンバー同士が激しく競い合い、昨年実施された人気投票で、大島優子(22)がそれまでトップだった前田敦子(19)を破り、話題になった。回転寿司業界もまさにAKB状態で、同業者同士が日々激しくしのぎを削っている」。
デジャブ感。そう。昨年からずっと話題になっていた牛丼戦争のようではないか。この先牛丼業界のように優勝劣敗が進んでいくとすれば、それでは、回転寿司業界で、どの企業が勝ち残っていくのか。何がカギを握るのだろうか。
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