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ボーイング787“ドリームライナー”は空の旅をどう変える?秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(5/6 ページ)

開発の遅れが懸念されていた次世代機787について、ボーイングは今年1月に「初号機納入は2011年第3四半期(7〜9月)」と発表した。1号機を受領するのはANAだ。スケジュール通りに進行すれば、いよいよ年内にも日本の空でデビューすることになる。787は、これからの空の旅をどう変えるのか?

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キャビンの窓が従来機の1.6倍に

 787は、これからの“空の旅”をどう変えるのか。それを取材するため、私はワシントン州レントンにあるボーイングの「カスタマー・エクスペリエンス・センター」に向かった。シアトル中心部から南へ、車で15分ほどの距離だ。ここには787の実物大モックアップが展示され、完成後のキャビンを疑似体験できる。担当のケント・クレーバーさんにゲートで出迎えられ、さっそくモックアップに案内してもらった。

「旅客は787に搭乗した瞬間から、これまでの旅客機とはまったく異なる空間に足を踏み入れたことを感じ、新しい空の旅を体験することになるでしょう」

 クレーバーさんは自信たっぷりに言う。キャビンに入って最初に気付くのが、窓の大きさだ。従来のアルミ合金に代わって採用されたカーボンファイバー複合材は強度が高く、壊れにくい。大きな1枚板でボディを構成できるため、継ぎ目を少なくし、キャビンの窓を従来機の1.6倍にまで拡大した。

飛行機と空と旅
窓ワクのサンプル。3つの窓の左に白い線で表示されているのが従来機の窓の大きさだ

 窓ワクが縦方向に伸び、視界を広げている。これなら通路側のシートからでも外の景色が楽しめるようになるな。そう私が感心していると、クレーバーさんは窓の下のスイッチに手を伸ばした。すると、透明だった窓ガラスが半透明に変化し、最後は真っ暗に──。

「窓にシェード(日よけ)がないことに気付かれましたか?」と、クレーバーさんは笑みを浮かべた。「シェードの代わりにエレクトロクロミズムを使った電子カーテンを採用し、窓から入る光量を5段階で調節できるようにしています。客室乗務員がすべての窓をいっせいに操作することもできるので、窓側のお客さまがシェードを閉めずに寝てしまったときも、いちいち手を伸ばして閉めて歩く必要もありません」

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787の実物大モックアップキャビン。窓のシェードがなく、電子カーテンで光量が調節できる(画像をクリックすると拡大します)

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