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コラム

中国、要注意だ藤田正美の時事日想(3/3 ページ)

中国経済の勢いに“黄色信号”が点滅している。2008年のリーマンショックのときは大規模な財政資金の投入で大きな落ち込みはなかったが、今後は中国の「構造的な問題」に悩まされそうだ。

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 しかしこうした動きには新たな不均衡もある。それが労働者の教育水準だ。労働者への需要のうち、半分以上が高校あるいはそれ以下の教育を受けた人たちに対するもの。これに対して、大学あるいはそれ以上の卒業者の労働需給はより厳しくなっている(2008年、2009年と大きく落ち込んだが、2010年にはわずかしか回復しなかった)。

 今後も製造業を中心に出稼ぎ労働者への需要は旺盛とみられるが、それは中国が労働集約的な産業構造であるためだ。しかし賃金が上昇してくれば、産業の高度化が必要になる。つまり現在のような中国の成長モデルがどこまで維持できるのか、という問題が表面化するということである。

 以上が分析リポートの内容だが、こうした状況を考えると、日本企業の対中投資がいまだに高水準であることが不思議に思えてくる。もちろん中国ではなく、インドや東南アジアにシフトしている企業もあるが、企業の意思決定のスピードをもっと上げないと、速くなっている環境変化についていけない。果たして日本企業はそれに対応できるのだろうか。

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