コツコツお金を貯める人が、減っている理由:マネーを追いかける(2/2 ページ)
「毎月決まった額を貯めている」という人が、過去最低に。博報堂生活総合研究所が行った調査で、こんな結果が出た。日本人は真面目に働き、コツコツとお金を貯めるというイメージがあったが、それは“過去”のものになったのだろうか。
私たちの“不安”
コツコツお金を貯める人が減っているのは「金融機関が集金に来なくなった」「営業マンに来てもらいたくない」といった要因もあるだろうが、それだけではない。私たちの収入が先細っているので、なかなか蓄えることができない現実もある。
「昔のように右肩上がりの経済であれば、不安材料は少なかった。しかし今は給料がなかなか上がらない。ひょっとしたら急激に下がるかもしれない。こうした不安を抱えているので、決まった額をきちんと貯めていくことは難しい」と、博報堂生活総合研究所の吉川昌孝さんは分析する。さらに「子どもの教育費や自己啓発などに、お金をかける人が増えている。将来が不安定であることが分かっているので、教育関係にお金を注ぎ込み、未来の不安を解消しているのだろう」とみる。
もう1つ、興味深い調査データがある。「毎月決まった額の預貯金をしている」人が過去最低となったが、逆に「欲しいものは『お金』」(1992年50.9%→2010年56.8%)が過去最高に。2002年以降、“コツコツ預貯金”派と“お金が欲しい”派は反比例するような動きを見せながら、その差は2010年時点で26.9ポイントにまで広がった。
ちなみに増えているのは「お金」だけではない。「安定した暮らし」(2002年38.5%→2010年44.5%)も増加傾向に。また「健康」(46.2%)を挙げる人も多い。
あなたが欲しいものは? と聞かれ、多くの人が「お金」と回答している事実。これをどのように受け止めればいいのだろうか。「たくさんのお金を手にできれば、今よりも裕福な生活を送ることができ、幸せになれる」と思っている人も多いのでは。その一方で「お金を手にしないと、不安」という人もいるだろう。右肩上がりの折れ線グラフを見ていると、私たちは“幸せ”を追い求めながら、同時に心の“不安”が膨らんでいるようにも感じる。
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