コラム
なぜ銀行は「金利優遇キャンペーン」をやめないのか(3/3 ページ)
家の購入を考えている人は、住宅ローンの金利が気になるだろう。多くの銀行では「金利優遇キャンペーン」を行っていて、安いところでは1%を切る水準も。しかしそんな安い金利で、銀行はもうけることができるのだろうか。
銀行はお金を預かっているだけでは儲かりません。でも景気の低迷が続いているので、企業の資金需要はなかなか高まりません。企業向けの融資残高が伸び悩んでいるので、銀行は「法人がダメなら個人!」となり、必死に住宅ローンでお金を貸そうとしているのです。そして各行が競って赤字スレスレの水準まで金利を引き下げているので、ここ数年の貸出(運用)利回りは低下しています。一方、調達コストは下がっていませんので、結果として総合利ざや率は小さくなってきているのです。そのダンピング幅は赤字スレスレの水準に来ているので、もうこれ以上は下がらないでしょう。
この先、景気が回復して、企業融資も回復してくれば、銀行も金利ダンピングをしてまで住宅ローンで運用しなくてもよくなるかもしれません。「景気が回復してきた」「銀行の法人貸出が伸びてきた」「日銀が金融緩和政策を止めた」――。こんなニュースが出てきたらその時こそ銀行が金利優遇キャンペーンを縮小したり、やめたりするんでしょう。その時はまだまだ先かもしれませんし、意外にすぐかもしれません。
※この記事は、誠ブログ「世の中の動きの個人資産への影響を考えてみる」より転載しています。
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