ワンマン経営者の“暴走”の軌跡を追う(4/4 ページ)
無謀な経営の果てに破産した、注文住宅販売会社の「アーバンエステート」。大量のテレビCMで「一生安心の家」をうたう一方で、粉飾決算や異様な前払い金の催促などを行っていた。
異常な前払いの多さ、法規制は?
住宅関連企業などで構成される社団法人「住宅生産団体連合会」の担当者は「アーバン社の前払い金の高さは異常」と指摘する。同法人では、アーバン社や富士ハウスの相次ぐ破綻を受け、21年3月に前払い金に関するガイドラインを発表した。それによると、契約時から完成時までの各段階に分けて、3回から5回に分けて支払うのが一般的だという。
4回払いの場合、契約時1、着工時3、上棟時3、完成時3などの割合が適切だとの指針を示している。「通常、契約時の支払いは1〜2割。全額なんてありえない」(同法人)。
こうした前払い制度について、現行では法による規制はない。同法人は「住宅業界のほとんどを占めるのは中小企業。資材の手配など、前払い金制度は必要不可欠。法制化によって硬直化してしまえば、ほとんどがつぶれてしまう」と説明し、こう続けた。
「住宅の資材の価格は大体決まっている。無理な割引などはできないもの。施工業者の打ち合わせでの姿勢などから、しっかりと信頼できる業者を見極めてほしい」
だが、被害者の会の代表を務める男性(38)は「家は一生に一度の大きな買い物。このままでは同じような被害を受ける人が出てしまうのでは」と危惧。さらに、「なぜあんな無謀な経営を行ったのか。今後の被害を防ぐためにも、今までのらりくらりと交わしてきた永井容疑者らには、きっちりと法廷で説明をしてほしい」と訴える。
無軌道な経営の果てに、多くの夢を奪った永井容疑者ら。被害者の声は届くのだろうか。
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