「原発事故」報道を検証する――海外と日本ではこれほど違う:松田雅央の時事日想(4/4 ページ)
この1週間、海外メディアも福島第1原発の状況を詳細に報道している。海外の状況評価は極めて厳しく、国内の危機意識との間に大きなギャップがある。海外メディアは日本の情報開示をどう評価し、現状をどうとらえているのだろうか。
海外の目線から提言
筆者のような「海外にいる日本人」は国内と海外の狭間に生活し、危機に対する感覚も中間の位置にある。筆者はその目線から、あえて「危機感覚をもう一段引き上げること」を市民に求めたい。不安をあおる意図は全くないしストレスが増すことも承知しているが、あえて書かせていただく。
3日前に福島の知人と電話で話したところ「原発から80キロ離れているから、まあ心配はない」と言っていた。この話を聞いた時、原子炉爆発の可能性や飛来する放射性物質に対する危機意識の低さに、正直唖然とした。せめて「福島を含めた近隣都県から放射線に敏感な子供たちだけでも予防的に疎開させる」といった穏やかな手法も可能なはずだ。
放射線の影響について「直接に直ちに健康に害を与えるものではありません……」と繰り返す日本政府と違い、海外はかなり厳しく考えていることを知ってほしい。
また日本政府は最悪のシナリオを含めリスクについてもっと率直に伝えるべきだ。3月21日に、asahi.comは次のようなニュースを配信した。
「国、住民の被曝予測公表せず 研究者らが批判」(3月21日23時45分、asahi.comより )。「放射性物質の種類や量、放出時間などの推定が粗いので、避難などの判断材料としては使っていない。その状況なので軽々しく公表できない」と原子力安全委員会がコメントした。しかしこの説明に、いったいどれだけの人が納得できただろうか。
こういった消極姿勢が、世界的にも「日本政府は都合の悪い事実を隠している」という悪評を生む温床となる。
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