コラム
“二次被害”をなくす方法はあるのか――目に余る震災報道:相場英雄の時事日想(3/3 ページ)
被災した子どもたちに、マイクを向ける大手メディアが後を絶たない。こうした報道は“二次被害”を招く危険性があるが、私たちは傍観するだけしかないのか。筆者なりに報道被害を食い止める方法を考えてみた。
被災者の心
大震災後、三陸に緊急帰郷していた友人から写真が届いた。その友人は東京から支援物資とともに1日半かけて故郷に戻った。物資を各地の避難所に届け終えた際、実家周辺に出向いた。この写真は、素人が携帯電話で写したものだ。
当日、友人がこんなメッセージを発信していた。
「今日、自宅周辺の壊滅状態を見て、周りの建物のおかげで自宅が流されずに済んだのかと思うと複雑な気持ちで涙が出てきた。近くの田んぼには車やら船やら道路のアスファルトまでもが流れこんでいた。未だ田んぼは海水で浸っている。崩れた道路に流れ混んでいる。この水が引けた時を想像すると辛くて胸が締め付けられる」
三陸や浜通り、東北各地の震災被災者は、1人1人がこうした思いを胸に秘めている。これ以上、心をえぐってはいけない。
※編集部注:写真とメッセージは被災者本人の許可を得て掲載しています。
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