コラム
被災者はワイドショーの素材ではない――報道被害の声を紹介する:相場英雄の時事日想(2/2 ページ)
「津波、怖かったですか?」――。東日本大震災の発生から1カ月が経とうとしているが、いまだにこうした無神経な質問をするメディアが後を絶たない。今回の時事日想は、大手メディアの取材攻勢に怒りを隠さない、被災者の声を紹介しよう。
復興はこれから
現在、テレビ・新聞の大震災関連の特報体制は解かれ、東電の原発事故に取材陣が殺到している(本稿執筆時点)。大震災の被災地、特に津波被害が深刻だった沿岸部からも徐々に取材陣が引きあげている。だが、被災地の復興はこれからなのだ。避難所を出て仮住いを探す住民、漁船や漁具の確保に手を付け始めた漁師――さまざまな人々が懸命に動きだそうとしている段階だ。
今後、間違いなく被災地関連の報道は減っていく。だが、被災地の苦悩はまだ続く。筆者は大手メディア、そして大多数の視聴者や読者の関心を薄れさせないためにも、災害関係の情報を伝えていくつもりだ。
「あんな取材はもう懲り懲りだ」
東日本大震災級の災害が他地域で発生した際、東北の被災者が被った心の傷を再発させないためにも、筆者は微力ながら情報発信を続ける。
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